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【光る君へ】肉食女子・明子と重なる「六条御息所」とは!? 嫉妬のあまり相手の女を呪い殺した恐ろしい美女

日本史あやしい話56

 

■嫉妬に狂った北条政子との違いとは?

 

 ちなみに、「嫉妬」と聞いて思い出すのが、源頼朝の妻・北条政子である。こちらは御息所とは違って、権勢欲も強く、勝気で一本気。夫に対しても強気で、しおらしい雰囲気は感じられそうもない。御息所との共通点は、ともに「嫉妬心」が強かったという点だけである。

 

 ただし、政子の場合は、夫が妾を持つことに当初より強く反対。そのため、頼朝は妻に隠れて、こっそりと妾との逢瀬を楽しんだようだ。そのお相手が、亀の前であった。

 

 しかし、逢瀬はすぐにバレた。怒り心頭の政子は、なんと、亀の前が隠れ住む屋敷に兵を送り込んで、散々に打ち壊したというから凄まじい。そればかりか、亀の前をかくまった人物まで流罪に処したというから、何とも執念深い。もちろん夫に対しても、激しく感情をぶつけたことも想像に難くない。

 

 この政子の場合は、「嫉妬」だけでなく、夫という所有物を奪われたことで、妻としての「自尊心」を傷つけられたことも加わった。そのため、「哀しみ」よりも、「恨み」や「憎しみ」の方が大きかったのだろう。その報復に自制心が効かなくなって、破天荒な行動を起こしたと考えられそうだ。

 

 一方、御息所の場合は、光源氏に対する未練が残ったことで、男への直接的な行動には歯止めがかかった。それでも、男が愛する女たちを苦しめたことで、かえって男まで苦しめてしまったことは想定外であった。

 

 御息所の苦悩は、女たちに制裁を加えることで解消できるかと思われたものの、その実、愛しの男まで苦しめてしまった。結局は、死してなお悶え続けなければならないという、負の連鎖に落ち込んでしまったのである。

 

 

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藤井勝彦ふじい かつひこ

1955年大阪生まれ。歴史紀行作家・写真家。『日本神話の迷宮』『日本神話の謎を歩く』(天夢人)、『邪馬台国』『三国志合戰事典』『図解三国志』『図解ダーティヒロイン』(新紀元社)、『神々が宿る絶景100』(宝島社)、『写真で見る三国志』『世界遺産 富士山を行く!』『世界の国ぐに ビジュアル事典』(メイツ出版)、『中国の世界遺産』(JTBパブリッシング)など、日本および中国の古代史関連等の書籍を多数出版している。

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